~壊れゆくカメラで撮られた光景は、近いようで遠い心の中にある光景のよう~
目黒通りから油面地蔵通り商店街に入ってすぐの右手にある「金柑画廊」は、木造の大きなガラス引き戸の入口が特徴的な、自然光が入る1階路面のアートギャラリー。
店内ではアーティストグッズや本なども販売されています。
写真展開催のきっかけや作品についてなど、ギャラリーオーナーの太田さんにお話を伺いました。
ーこちらの写真展開催の経緯などお聞きしてもよいでしょうか。
こちらで行われた写真展に市ノ川さんが来てくださったのが出逢いのきっかけです。
それからずっと作品を見させていただいていて、2022年 写真展「blurs.」を開催し、お互いに支え合いつつ協力し合うといった関係が続いています。展示していただく作家の方々とはそういう関係を築けるように努力をしています。
展示に関しては1年ほど前に決まったのですが、何種類か並行して撮られているシリーズの中から、トイカメラで撮られた作品が今回の「遠い聲」になります。
ートイカメラで撮られた作品とのことですが。
彼女が古いトイカメラを実家で見つけて、壊れているかもしれないけど撮ってみようというのがはじまりで。これまでデジタルで撮った多重露光のシリーズだと、カメラ内でご自分がつくられて、そこから浮かび上がる画像はある程度自分でコントロールされていますが、トイカメラは壊れていっているので、最初の方は図像を結んでいますが、どんどん(カメラが壊れていることで)露光していっている中に、彼女自身が見つけたい風景がそこにあったのだと思います。
「彼女が普段求めている表現に近しいものでもあり、
自分がつくったというより、自分のところにやってきた作品群」
ーいつぐらいから撮られたものでしょうか。
コロナの頃からと聞いています。(作品を指し示されて)日差しの入り方とかを見ていると、夏休みがはじまって終わるといった気持ちになります。見られた方の中には、具体的に何かが写っているわけではないけれど、これも写真でしかできない表現の一つ。どこからどこまでが写真かということをあらためて考えさせられる機会をもらったと感想を話された方もいらっしゃいました。
太田さんの話の中で市ノ川さんが、手のひらの中のものをそっと差し出すようにして、作品をつくっていらっしゃるとお聞きしたのがとても印象的でした。
近くて遠いように感じられる光景の数々は、自分の記憶の中にある子ども時代の夏の日のように、一瞬にしてよみがえり、また記憶の海に沈みこんでいくよう。光と記憶の断片に触れる写真展、ぜひご覧ください!
【市ノ川 倫子 写真展「遠い聲」】
会期:2024年6月22日(土)〜7月15日(月)
12:00~19:00
会場:金柑画廊
開廊日:木、金、土、日(祝祭日)
www.kinkangallery.com
市ノ川さん Webサイト
www.tomokoichinokawa.com
市ノ川さん X
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市ノ川さん Instagram
www.instagram.com/tomocco.12