パリスケッチ

パリスケッチ
清永 安雄
2021/12/13 ~ 2021/12/26
パリスケッチ
写真を始めた頃、ジャン=ウジェーヌ・アジェの作品に出会い、初めて『写真の力』というものをひしひしと感じた。それ以来、アジェは今も私にとって写真の師である。

パリに来ると、アジェは足で写真を撮っていた、ということがわかる。歩いて歩いて、撮影していたのだ、と……。

そこで2011年の秋、私も歩いてパリを見よう、歩いて写真を撮ろうと、ともかく歩いてみた。地下鉄で終点まで行ってから、てくてく歩いて帰ってくるのだ。目で見るのではなく足で見る。足は人のいる方向に向かうようだ。魅力ある場所も、頭より足のほうが理解している。

地下鉄、カフェ、犬、市場、エッフェル塔、ホテル、セーヌ川、ギャラリー、老人、子供、女性、男性、ファッション、パリ人と間違えた外国人、カスクート、クロワッサン、ケーキ、オリーブ、ビール、ワイン、カフェオレ、美術館、等々……。

飾らない普段着そのままのパリが、ここには詰まっているはずだ。

写真集『パリスケッチ』より