マニュエル・ブヤ 写真展「Tauromaquia」
Manuel Buylla
2023/10/03 ~ 2023/10/15
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2階展示室にて、2023年10月3日(火)から10月15日(日)まで、マニュエル・ブヤ 写真展「Tauromaquia」を開催します。
※最終日は17:00まで
Artist Statement:
地球は勢いよく回転している。世界の全ては留まることなく動き続けているが、スピードを落とせば絶え間ない力に押しつぶされてしまう危険がある。
マニュエルはそれを分かっている。
ヴァルター・ベンヤミンは、細かなことを観測する者は「一瞬」のチャンスを逃してはならないと語っている。
マニュエルは写真家であると同時に観測者でもある。彼はカメラの覗き穴を通して、二度と見られないことや、儚い一瞬を常に探し続けている。写真は彼の旅の原動力で、冒険そのものである。
彼は、世界を旅し、撮影することに情熱を掲げている。
ヨットで大西洋を横断し、カリブ海の島々を巡った。その後ベネズエラに到達した際には、何度かアマゾンを探索し、ベネズエラやブラジルの先住民族と生活を共にした。この経験は彼に大きな影響を与えた。
そこで撮影したものは、その後の仕事の根幹や基礎になるようなものであった。
またある時は、世界最大の滝「エル・サルト・アンヘル」があるグラン・サバナが彼の旅の目的であった。
自然の美しさ、平らな頂と垂直な崖のある巨大な山々、頂上からの幻想的な風景を撮影せずにはいられなかったが、同時にそこに住む民族にも敬意を払いながら撮影を行った。
ベネズエラ・コロンビア・エクアドル・ペルー・ボリビア、ブラジル北部。
そしてアジアのラオス、ビルマ、カンボジア、ベトナム、タイ…。旅してきた場所で常に予想を超えるものを探してきた。
まだ見ぬ幻想に、心が高鳴り続けている。
最後に旅した場所は、シルクロード。ベトナム北部から中国、カザフスタン、キリギスタン、トルコまでバスを使って旅をした。バスの旅は、どこか一か所に留まることがないように思われるかもしれないが、彼は各地に留まりながら、人里離れた街のホステルに滞在し、地元の食事を味わった。異文化やその住人達と触れ合うためである。
ヨーロッパのバックパッカーであるマニュエルは、他者の生活にそっと入り込み、自分の視点からそれを表現し、不滅のものとする。
これら全ての経験は、創作の手助けとなっていて、写真、彫刻、絵画は彼のアートを創造するための言語になっている。
「闘牛」は、京都写真美術館での展示タイトルである。
闘牛は、スペインに古くから伝わる伝統行事で、古代から雄牛は勇敢のシンボルとして見なされており、同時に人自身の勇敢さを試す動物でもあった。
雄牛の前で勇敢さを示すに値するのは、王族だけだった。雄牛は古代ギリシア・ローマ神話の中で主人公として扱われており、半人半牛ミノタウロスはその一つである。
闘牛の主人公は他ならぬ雄牛である。そして闘牛は、人が雄牛に立ち向かう芸術である。
彼は写真家と闘牛の間にある障壁を取り払い、闘牛の臨場感の一瞬、その細部までを写真に収めた。捉えた一瞬一瞬が共鳴し、その一瞬の感情が一つの物語となる。
あなたは、写真を通して他では味わえない闘牛の体験に誘われるだろう。