栃木県那須郡那珂川町小砂

栃木県那須郡那珂川町小砂
産業編集センター 出版部
2022/03/02 ~ 2022/04/15
栃木県那須郡那珂川町小砂

【旅ブックスONLINE 写真紀行】
産業編集センター出版部が刊行する写真紀行各シリーズの取材で訪れた、全国津々浦々の風景を紹介しています。
書籍では掲載していない写真も地域ごとに多数掲載。
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森と樹々と水田と素朴な焼き物、郷愁をそそる美しい村

 

栃木県の北東、那珂川町の北部に位置する小砂地区は、本当に美しい村である。人口は約800人。総面積の64パーセントが森林で覆われた山間の村で、八つの小さな集落で構成されている。 とにかく絵になる風景が連続している村で、各集落を包む緑の濃淡がひたすら美しく、それが水田に光り輝きながら映る光景は、心のどこかに潜んでいる郷愁を呼び起こすのだろうか、いつまで見ていても見飽きない。日本の山里は、やはりどこの国よりも美しい、と改めて思う。 そんな風景が自慢の村、小砂は、もうひとつ「小砂焼」という独特の焼き物でも知られている。縄文土器が数多く出土している小砂は、平安時代にも須恵器を焼成するなど良質の陶土に恵まれていた。その陶土に、天保元(1830)年、水戸藩主で徳川慶喜(よしのぶ)の実父だった徳川斉昭(なりあきら)が目をつけ、水戸藩の御用製陶所の原料として使い始めたのがそもそもの興り。その後、江戸期の嘉永四(1851)年に御用瀬戸の焼成に成功したことが、小砂焼の始まりだといわれている。

『ふるさと再発見の旅 関東』産業編集センター/刊 一部抜粋