広瀬良二「心配するなすぐ帰れ」

広瀬良二「心配するなすぐ帰れ」
広瀬 良二
2024/10/26 ~ 2024/11/17
金柑画廊 / Kinkan Gallery

「心配するなすぐ帰れ」

もう昔のことだが新聞の下段にあった三行広告の尋ね人欄には、探し人の名前を大きく書き、次に”全て解決、連絡しろ”、”父病気すぐ連絡乞う”というような言葉が書かれ、締めに”ハハ”とか”父○○”と広告を載せた人がどういう関係の人かわかりやすく記されていた。
制作の構想がまとまらずに考えすぎた時、かつての尋ね人欄の短く端的で力強い表現にあやかりたい思いを憶えた。三行広告には同時に抱える何か胡散臭さも漂っているが、この際それも含めてのこととして制作に向かう気を持ち直せたらと考えたのだが、さて出来た作品はといえば、尋ね人が無事に見つかったかどうかと同じくらいの不確かさかも知れない。見出しは強いのだが。

(広瀬良二)

 


 

金柑画廊は、10月26日(土)から11月17日(日)まで、広瀬良二「心配するなすぐ帰れ」を開催いたします。
今年5月、広瀬良二が運営していたアンティークショップの記録ともいえる写真集『Out Of Style』が、写真家の橋本すみれによって出版されました。写真と彼らの言葉が小さな灯火となって、「Out Of Style」の薄暗い店内へと導いてくれます。当時を知る人にとっては、その時の様子が目の前に立ち上がるのだろうと想像します。
彼の起源である「Out Of Style」の解禁ともいえるこの写真集の出版を機に(出版に至る心境になったのがその機なのかもしれませんが)、反骨としての作品作りから、近年は徐々に解放されてきたように思えます。広瀬良二節は今も健在ですが、彼の作品の細部から受ける「解放」の感覚は、過去と現在がならされてゆっくり地続きになってきたからなのかもしれません。
本展タイトル「心配するなすぐ帰れ」はかつてあった新聞の三行広告から着想を得てつけられました。新聞の3行広告が外へ向けての叫びであるなら、「心配するなすぐ帰れ」は彼の小さな叫びでもあり、自分への鼓舞でもあり、私たちから彼へのエールでもあるのかもしれません。これからも制作への立ち行かなさを吐きながらも歩みを進めていくのだろうと思います。
今回の展示と併せて、写真集「Out Of Style」(著者・発行人:橋本すみれ)、カタログ『隙間が育ったので』(発行・アルスクモノイ)などの広瀬良二関連書籍の販売もいたします。この機会にご高覧ください。

(太田京子/金柑画廊)

 


 

広瀬良二「心配するなすぐ帰れ」
Ryoji Hirose “No Worry, Come Home Now”

会 期:2024年10月26日(土)〜11月17日(日)
    12:00〜19:00
開廊日:木、金、土、日(祝祭日)

会場:金柑画廊
   東京都目黒区目黒4-26-7
   kinkangallery.com/

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