きつの えいじ「山水霧幻」インタビュー

2020年3月7日

きつの えいじ 写真展「山水霧幻」が京都写真美術館ギャラリー・ジャパネスク1F「月」にて、3月3日(火)から3月15日(日)まで行われているのでレポートをお届けします。

きつのさんは山口県出身で、福岡県に拠点を置いて活動されている写真家です。風景写真を専門として、様々な場所で撮影を行われてきました。約1年半前に当館での初展示を行われ、今回の展示は二度目の開催となります。本展「山水霧幻」では、霧に浮かぶ松の木々を表現した長谷川等伯の松林図に感銘を受けられて、霧や雨の中で撮影を多くされました。阿波和紙にプリントをされて奥行きのある味わい深い展示となっております。きつのさんは15日(日)まで毎日在廊を予定されております。

Q.今回の展示タイトル「山水霧幻」について込められた思い
「山水」は風景という意味を持ち、「霧幻」は霧を通してぼんやりとした幻想的な世界観を創出しているということを意図しています。霧の立ち込める朝早い時間帯を狙って、写真の中に奥行きのある空気感を創出し、日本画の巨匠である長谷川等伯や雪舟、東山魁夷の山水画を想起させる作品を目指してこのように名付けました。

Q.様々な場所での撮影を通して感じたこと
場所を特に意識して作品作りをしているわけではないですね。今回のテーマでは松、霧をテーマとしているので場所は違えど、共通した表現を心がけているので似たような空気感を作り出せていると思っています。しかしながら、場所ごとに植生や地形の相違があるので面白かったですね。中国でも撮影を行ったのですが、日本と比べて直線的で垂直を強調されている印象でした。日本の風景は優しく丸みを帯びている印象ですね。

Q.どのようにお客さんに楽しんでもらいたいか
京都の人々は、鑑識眼・審美眼に優れていることが多い印象です。長年日本文化の中心として発展してきた地であるからか、整然とした町家のように国内でも随一の美意識を大事にしている土地柄だと感じています。京都にゆかりのある「雪舟」や「長谷川等伯」の作品を意識して作品作りをしたため、鑑賞者の方にもお楽しみいただけるものだと思っております。また、アートに造詣が深い海外の方も多くいらっしゃる立地にありますので、より多くの人に見てもらって、私の作品に関する感想などを述べていただけたらなと思っております。

Q.今後の作家活動の展望
ニュー・バウハウスの理論教育を受け、後輩たちにその造形理論を指導・教育してきた者として、西洋の理論と日本文化の融合を目指して作品作りに励んでいきたいと思います。写真作品を作る上で、撮影対象を評価されるのではなく、己の表現技法を評価されるようになりたいと思っております。

アワガミインクジェットペーパー いんべにプリントされた作品

【きつの えいじ 写真展「山水霧幻」】
2020/03/03 ~ 2020/03/15
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 1F「月」
時間:11:00〜18:30
きつの えいじHP