夏樹螢石「楽園彩時記」インタビュー

2019年8月22日

夏樹 螢石 写真展「楽園彩時記」が京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク1F「雪」で2019年8月20日(火)から8月25日(日)まで行われているのでレポートをお届けいたします。

Q、「楽園彩時記」というタイトルにはどのような意味が込められていますか?

夏樹さん(以下、敬称略):歳時記って月日ごと、季節ごとにまとめた俳句集のようなものだと思うんですが、今回の展示にあたって色をテーマにし、色ごとにグループ分けして作ってみようというのがあったので、歳時記の「歳」の字を「彩」に変えてみました。生き物たちの写真を中心にしたかったので、生き物たちの楽園ということで、「楽園彩時記」というタイトルをつけました。

Q、沖縄県の八重山が舞台ということですが、何か理由はありますか?

夏樹:一番最初に訪れたのが私が高校生の時で、その時から沖縄の自然には虜になっていました。そこから年に数回ずつ行っているうちに、写真が趣味だったこともあり、八重山の写真を撮っていきたいな、と。また、虫も好きなので、ここ数年は特に虫を中心に撮影していました。もう20回ほど行っているので土地勘もあって半分地元みたいなものです(笑)。

Q、本展の構成についてお願いします。

夏樹:ぐるっと見ていただくとストーリーがつながっている構成にさせてもらっています。まず、森の中で生活する生き物たちの写真からスタートします。森の中では葉っぱの裏に隠れたり、色を変えたり、猛毒を持っていたり、色々な手段で隠れたり身を守っているよねっていうところで、そういった虫たちを集めています。

アズチグモに捕食されるジャコウアゲハ

夏樹:そのあとは、緑の中で命のつながりをテーマに写真を構成しています。交尾であったり、蝶が蜘蛛に食べられていたり。森によくいる蝶が蜘蛛に食べられるっていうのは、ショッキングな写真でもありますが、そこにはドラマもあって普段じっくり見ることもないので、見てもらえたらなと思います。

カンムリワシ

夏樹:昆虫同士で食べたり食べられたりしている訳ですが、彼らももっと大きな生き物に食べられてしまうよねということで、生態系のつながりの最後に、アカショウビンとカンムリワシを配置しています。
このようなつながりで、ストーリーを構成しています。

Q、生き物の次は、色がテーマの構成になっていますね。

夏樹:そうですね。ここからは色がテーマで、まず赤い鮮やかなハイビスカスがあります。花には色々な虫が集まるので、蝶の写真も配置しました。同じような色鮮やかな生き物にはトンボもいて、蝶の隣にトンボという構成になっています。八重山のトンボは本当に綺麗で色鮮やかなものが多いので、ぜひ見ていただければと思います。山に行ってもらったときに、目を凝らしてもらうと小さな宝石がいっぱい飛んでいますよ。

夏樹:続いて、こちらのテーマが青。青と言っても空の青、海の青など一文字で言い表せない様々な青があると思います。
昆虫にも、実は青色が入っているものが多くて、真っ青な羽を纏う蝶、ワンポイントの青を纏うトンボ、お尻に蒼い筋がある蜂や薄い水色がかかっている蜘蛛とか。色んな青が昆虫にもあるんだよというところを思って欲しいですね。

夏樹:ストーリーとして、夕暮れになり日も落ちて夜になって行くのですが、夜になって色が無くなると思ったら実はサソリなんかがいたりして、暗闇に活動する生き物たちもカラーリングの主張が激しいんだよと。

Q,展示を通してどういったメッセージを伝えたいですか?

夏樹:昆虫が嫌いな人も多いと思いますが案外愛くるしい顔をしているなあとか、自然もそうですし昆虫たちが纏っている南国特有の目が覚めるような色鮮やかさもあるのかといった新たな気付きを楽しんでいただければとおもいます。こういった生き物たちが実は身近にたくさん生きているんだと感じてもらうのが伝えたい部分でもあります。
あとは、何よりもこれを見て沖縄に行ってみたいというキッカケになれば嬉しいですね。実際に生で見てもらって、生き物たちが豊かに生きているということを感じてもらうのが一番だと思います。

【夏樹螢石 写真展「楽園彩時記」】
会期:2019年8月20日(火)~8月25日(日)
会場:1階「雪」
時間:11:30~18:30
※無休、入場無料
https://kyoto-muse.jp/exhibition/37738