野口 毅 写真展「明治期の保存灯台」

レポート / 2017年7月12日

日本における灯台の歴史は古く、狼煙やかがり火が始まりです。
近代に入り、開国後の明治期になるとフランス、イギリスの技師による灯台が建造されました。現在、現役で活躍している明治期の灯台は64基あります。
その歴史的に貴重な明治期の灯台を一挙に見ることができるのが、野口毅さんの写真展です。

野口さんが灯台を撮影し始めたのは2005年。情緒的な思い出から撮影するうちに、灯台というモチーフが気になりはじめたそうです。地図記号を頼りに獣道を分け入って撮影するなど、当初は苦労も多かったのだとか。

「後に点検の際に同行し、鋳鉄の階段や木目塗装、美しいフレネルレンズなど灯台内部の撮影が可能になりました」。

2015年に「明治期の保存灯台」をまとめた『Lighthouse すくっと明治の灯台64基』を出版されていますが、それ以降も特徴的な立地に立つ灯台の姿を、ドローンにより空撮を続けているそうです。曰く「撮影は、私自身が終わりだと思うまでは続けることになります」とのこと。さらに、野口さんが灯台にかける情熱は国内だけに留まらず、ゆくゆくは海外へ広げたいと話してくれました。

「海外には灯台ファンが多く、灯台グッズも多く販売されていますが、日本では灯台についてあまり知られていないのが現状です。もうしばらく国内の撮影を続けますが、まずは日本の洋式灯台のルーツとも言えるフランスやイギリスの灯台撮影にも挑戦したいと思っています」。

展示会場では、建造された年代の古い順に全国の灯台が並びます。それは、少しずつ変化していく灯台の形や素材、地域などから、時代の流れを感じてほしいから。

美しさだけでなく、記録性としても非常に価値の高いこの写真展は明日まで開催しています。本日のお仕事帰りや明日の日中、ぜひ会場へ足をお運びください。

【野口 毅 写真展「明治期の保存灯台」】
会期:2017年7月7日(金)~7月13日(木)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会場:富士フイルムフォトサロン東京