沼田 学 写真展「水際と音楽と」

レポート / 2019年1月8日

~水面の揺らめきとミュージシャンが生み出すハーモニー~

会場にて沼田さん。左の3点が水面を写した作品、沼田さんの背後にあるのが神聖かまってちゃんを写した作品です。特に一番左端の作品が沼田さんのお気に入りだそうです!
また右側のスクリーンには、ミュージシャンの姿に水面のきらめきが重なった不思議な世界が!

築地市場を支えてきた人たちをフォーカスした写真集『築地魚河岸ブルース』など、独特の視点で身近なものを写し撮る写真家の沼田学さん。

「写真は撮るものじゃなくて、写ってしまうもの。それをどう具現化するかが写真家の役割だと考えています。自分の目で見るものと、写真に撮って原寸で見るものは全然違うから、写真は面白いですね。わざわざ写真にして見る価値のあるものは何かを、いつも自分自身に問いかけながら作品づくりをしています」

昨年は水際での撮影が多かったそうで、会場には、水面の動きを写したアクリルマウントの作品と、何年も撮り続けている人気ミュージシャン「神聖かまってちゃん」を写した作品の、計30点ほどが絶妙なバランスで展示されています。沼田さん曰く、水際と相性の良いミュージシャンなのだそう。

展示の様子。右側の作品は、ミニアルバム「夏.インストール」のジャケットにも使われた作品で、今回の展示DMにも使われています。

会場の様子。ポートレートに挟まれた水面の揺らめきが、音の響きを表現しているようにも見えるのが面白く、リズムよく作品を楽しめる展示です。 「自分の表現したいものを撮るために、いつも機材をつくっています。楽器と同じで、自分に合ったものを使うことで、自分にしか撮れないものが撮れる。そうやって追求していることで、本質に近づいていくと思います」と、沼田さん。今回の展示作品で水面を撮るのに使ったいかだも自作だそうです。

防水カメラを乗せたいかだを水辺に放ち、水面のふわふわとした動きを撮り集めた作品は、水面に反射した光や水の揺らめきが描く軌跡は、場所や時間に縛られない世界をたゆたっているような印象を受けます。
また、メッシュ地のスクリーンに二種類のスライドを並行に投影した作品では、自然体で過ごすミュージシャンの姿に水面の揺らめきが重なり、現実世界に潜む不安定さを想起させられます。

「決定的瞬間は好きじゃないんですよね」と話す沼田さん。神聖かまってちゃんと水辺の揺らめきを組み合わせて表現した、水と音の共演を見に、ぜひ会場へ足をお運びください。

二種類のスライドを重ねて展示。「スクリーンの後ろに立って写真をとってみよう!!メンバーと一体になれるよ!?」との文言どおり、多くの来場者が写真を撮っていました。

【@沼田 学 写真展「水際と音楽と」】
会期:2019年1月5日(土)~1月16日(水)
12:00~20:00(水曜日は17:00まで)
会場:新宿眼科画廊(木曜日休廊)
https://www.gankagarou.com/s201901numatamanabu

沼田さんのWebサイト
http://manabunumataphotos.tumblr.com/