福西 広和 写真展「凝集する瞬間」

レポート / 2017年10月16日

ロゴスの世界を越えろ。

写真哲学者である福西さんの考察は、見ることの本質とは何か。
見る行為は視界に入る全ての物を感じているのではなく、一つの対象に焦点を当て、残りの部分を見ないようにすることで成り立っています。福西さんの作品は、習慣によって捉えなくなっている物を、具体化させます。

福西さん、もずみみはらのアトリエにて。

「撮りたいものを撮ったらダメなんです。それでは、自分の意図した範囲に収まった作品になってしまう。歴代の写真家によって、積み重なり形成された類型的な妥当性の中に押し込まれているのが現代だと思っています。その類型的な妥当性を越えていくことが、作品でトライしていることです」

デジタルカメラの登場で、誰でも簡単に写真を撮ることができるようになりました。ありふれた内容の写真を目にする機会が増えました。テンプレートに収まったような妥当的な写真。今までの写真家が次々に撮影方法を作り出したからこそ、生まれた妥当性。それを越えた先に、福西さんが求める写真作品があるそうです。写真の新たな進化を求めていると言っても良いのかもしれません。

今回の展示は、大阪府堺市にある、もずみみはらのアトリエとの同時開催となっています。GALLERY IND.ではカラー作品、もずみみはらのアトリエでは、モノクローム作品が展示されています。
作品の編集時、福西さんは同じ写真のカラー画像とモノクローム画像を交互に見ていると、微かな香気を感じられたそうです。その香りを調合してもらい再現したものが、GALLERY IND.ともずみみはらのアトリエの両方に置いてあります。
ご興味のある方は、足を運ばれてみてはいかがでしょうか。(髙田)

作品の編集時、カラー画像とモノクローム画像を交互に見た時に感じた香気を調合して再現したアロマを垂らした石膏

【福西 広和 写真展「凝集する瞬間」】
会期:2017年10月7日(土)から10月29日(日)
*開期中の土日のみ開廊
開廊時間:12:00~18:00
*その他の日時は事前に開催会場までご連絡下さい。
会場:Gallery IND.
同時展開催会場:もずみみはらのアトリエ
https://www.gallery-ind.com