~「カンボジア」写真の向こうの現実。一人でも多くの方に知ってもらいたい写真展~
女性が連行されながら、なおも何かを訴えようとしている写真展のDMハガキ。一体カンボジアで何が起きているのだろう、現地で10年以上取材を続けていきたフォトジャーナリストの高橋さんにお話をお伺いしました。
「小さい時から自然と本を読む環境にあり、何度も手に取ってしまうのが、世界の社会問題の中でも、戦争で命を失ってしまう子どもたち。特に戦争による不条理への憤りを感じていて、世界の社会問題で苦しむ人たちをサポートしたいと思うようになりました。
上京し専門学校で国際ボランティア科を専攻し、その学校では各NGOで活動している方が講師として来てくださったりと、世界の諸問題の最前線を学ぶことができ、そこで様々なイベントのブースに参加しました。
著名な写真家の方々から提供していただいた写真パネルを設置しながら説明していると、いい写真というものは自分が懸命に言葉を尽くして説明するよりも、伝えたいことを代弁してくれるという、写真の伝える力というものに惹かれていくようになりました。
この専門学校での2年間の勉強での答えが、NGOや国際協力のスタッフとして身を置くのではなく、関心を持ってもらう新たな層を増やしていくという結論に行き着きました」。
その後カンボジアとの決定的な出会いがあり、ゴミ集積所で有価物を拾い生きる子どもたちへ健康教育をする活動を取材し、子どもたちと徹底的に向き合っていく中で、もっともっと深い部分でカンボジアを知って伝えたい。それが自分自身の果たすべき役割だと思った、とお聞きしました。
そして秋田魁新報社で4年間連載した「素顔のカンボジア」の取材を通じて、カンボジア全土の歴史、生活文化、社会問題についていろいろな人たちへの取材をしていくことが今回の写真展の取材につながっていったそう。
私の知っているカンボジアは長い内戦が終わり、1990年代の選挙後民主化への道を辿っていると思っていました。しかし関心がないことはこんなにも無知だという怖さを今回感じました。
開発で家を壊され土地を強制収容され、住む場所を突如失った人たち。フン・セン首相による一党独裁、独裁支配による反対派への弾圧の数々。こういった横暴に対して、非暴力で立ち向かう人々の姿に、深く心動かされました。
「彼らの届かぬ民主化への願いを世界に届けたい。今の夢は、いっぱい聞かされてきた彼らの届かぬ願いがいつか果たされこの国に訪れてきたとき、今まで見てきた嘆きや苦しみではなく歓喜の姿をファインダーに収めたい!それが僕がずっと思い描いている夢です」。
キャプションとともに写真を見ると、メディアで報道されないカンボジアの姿がより伝わってきます。高橋さんの熱意がこめられた写真展、ぜひ会場へ足をお運びください!
秋田魁新報社より、写真集が発売されています。
『RESISTANCE カンボジア 屈せざる人々の願い』
【高橋 智史 写真展 『「RESISTANCE」−カンボジア・屈せざる人々の願い−』】
会期:2018年12月14日(金)~12月19日(水)
11:00~19:00(最終日15:00まで)
会場:オリンパスギャラリー東京
【高橋 智史 写真展 『「RESISTANCE」−カンボジア・屈せざる人々の願い−』】
会期:2019年2月 1日(金)~2月14日(木)
10:00~18:00(最終日15:00まで)
会場:オリンパスギャラリー大阪(日曜・祝日休館)
https://fotopus.com/showroom/index/contents/i/9
高橋さんのWebサイト
http://satoshitakahashi.jp/