写真×いけばな展 【re:mind -花の記憶-】

レポート / 2018年12月8日

~美しい花の命をとらえたモノクローム写真と、鮮やかに咲き誇るいけばな作品~

会場にて、写真家の石山勝敏さん(左)と、いけばな草月流の千石如創さん(右)

Caplis Rental Spaceは、表参道駅から徒歩3分にあるアットホームなレンタルスペースです。吹き抜けの明るい空間で、小規模ながら落ち着ける場所。

会場のメイン展示。真っ赤なダリアのいけばな作品は、情熱を感じさせます。一方で、モノクロームの写真作品は、花の造形を精密に描き出しています。静の写真と、動のいけばながそろうことで、花の魅力がより伝わり、写真といけばなそれぞれの良さや役割が引き立ちます。

2部屋からなる会場に入ると真っ先に目に入るのが、大輪のダリアを使った作品です。伸びやかに美しい姿を見せるいけばな作品と並ぶことで、モノクロームの写真作品による花の力強さや美しい造形がストレートに伝わってきます。「re:mind ー花の記憶ー」というテーマに合わせ、ダリア、チューリップ、キク、バラの4種類の花をモチーフにした写真といけばな作品が、セットで展示されています。

キクをモチーフにした作品。何重にも重なる花びらの陰影が、モノクロームで美しく表現されています。一方で、いけばな作品の大胆で存在感のある姿が目を引きます。

写真作品を担当した石山勝敏さんは、これまで主に馬など生き物の命の美しさを表現する作品づくりをしてきたフォトグラファーです。花を撮るようになったきっかけは、TOKYO DAYSで毎年開催されている花の写真FBグループ展に参加したこと。以来、花を撮るだけでなく、自分でも花をいけるそうです。花との向き合い方でこだわっているのは、窓から差し込む自然光だけで撮ること。仕事の縛りがない作品づくりは、自分だけの世界に向き合え、被写体と向き合えるのが魅力だと言います。

チューリップを使った作品。花器に写真作品が生けられ、イーゼルにいけばな作品が飾られている。自由でのびやかな表現が、写真の新しい見せ方として面白い。

「僕が写真の中で表現したいのは、命のある美しい生き物たちが強く生きているドキュメンタリー的な世界です。花を撮るようになり、被写体との向き合い方に変化がありました。今回、いけばなとコラボするにあたって、写真が伝える強さを表現するために、あえてスクエアのモノクロームという縛りをつけて制作しました。いけばなの華やかさと写真の力強さがうまくマッチした、面白い展示になったと思います」

バラを使った作品は、3枚の写真と1点のいけばなが並んでいます。
「バラは撮りおろしです。この大きさの写真をと頼まれた時は、どういう展示になるのか想像もつきませんでした。完成したのを見て、こういう表現もあるのかと感動しました」と石山さん。

余談ですが、写真作品になる花と、いけばなで映える花は同じではないそうです。在廊されていた草月流の千石如創さんは「写真を知らないので安易にお願いしてしまいました。日々変化するいけばなの花とは違い、写真はその時その一瞬しか取れない。写真ってすばらしいなと、勉強になりました」と話してくれました。

トイレのスペースにもさりげなく花が飾られています。

一瞬の美をとらえた写真と、日々変化する姿を見せるいけばなの美しいコラボレーションを見に、ぜひ会場へ足をお運びください。

【写真 × いけばな草月流 コラボ展「re:mind ー花の記憶ー」】
会期:2018年12月6日(木)~12月10日(月)
12:00~20:00
会場:Caplis Rental Space
https://caplis-s.shopinfo.jp/

石山勝敏さんのWebサイト
https://www.ishiyamakatsutoshi.com/