石井 孝親 写真展「小さな自然との触れ合い」

レポート / 2017年10月27日

小さな草花や昆虫たちの、瑞々しい命の輝き!

マクロの視点で草花や昆虫を撮影している、自然写真家の石井孝親さん。作品の最大の魅力は、瑞々しく透明感のある世界観です。会場には、朝日を受けて透明な光をこぼすオオイヌノフグリやツクシなどの小さな草花、朝露に羽根を濡らした蝶や蜘蛛の糸など、45点の作品が並びます。一枚一枚の作品に、草花や昆虫たちの命の輝きを感じ、野辺で遊んだ子どもの頃の気持ちを思い出させてくれます。

来廊した方から「どうやって撮ってるんですか?」と必ず質問を受けるという作品を前に。「最初は、朝露に光る蜘蛛の巣を撮ろうとしていました。カメラを向けていたところ、奥に咲く月見草を見つけ、撮り方を変えるとおもしろいかもと思いついたんです」と石井さん。撮りたいものだけでなく、四方八方に目を向けると、いろんな発見があるのだと教えてくれました。

「こうやってしゃがみ込んで、蜘蛛の巣にカメラを向けていてね…」と実演してくれる石井さん。被写体を探す時も、撮影の時も、大抵がこの体勢だそう。体を使って目線を変えることの大切さを教えてくれました。

石井さんがカメラを手にしたのは14歳の時。愛読書の昆虫図鑑のような写真が撮りたいと、成績アップを条件にマクロレンズ付き一眼レフを手にしたそうです。以来約35年にわたり、主に昆虫や草花を撮り続けてきました。

「子どもの頃から昆虫が大好きで、しゃがみ込んで昆虫や草花をじーっと観察していました。現在でも被写体を探す時は地面に着くくらい身を屈め、子どもや昆虫の目線になって探します。大人の目線で見ると何もない野原でも、子どもの目線で見ると小さな命がたくさんあるんです。見ているだけで楽しくて、たまに撮影するのを忘れてしまうことも(笑)」

石井さんの作品に共通する瑞々しく透明感のある世界観は、朝露の残る早朝に、透過光で撮影することで生まれます。撮影場所は、近所の神奈川・新治(にいはる)市民の森にある里山を中心に、植物園など身近な自然。撮影は週に約2~3日、午前3時頃に起きて、日の出前には現場に到着し、日の出と共にシャッターを切るそう。草花や昆虫の体についた朝露が、朝日を受けて輝く瞬間を一度でも見てしまうと、もっと見たいという意欲がわいてくるのだとか。

「草花や昆虫の生命力を感じ、虫たちの話し声が聞こえる気がします。写真は一期一会です。同じ被写体、同じ場所での撮影でも、必ず何らかの新しい発見があります。写真教室では、撮りたい被写体だけじゃなく、周りにも目を向けるように伝えています。これからも身近な自然、手の届く自然を撮り続けたいです」

オオイヌノフグリとツクシ、サクラなど、身近な自然でよく目にする草花も、石井さんのファインダーを通すことで、瑞々しい生命感に気付かされる作品に。

子どもの頃に持っていた虫取り網が、カメラに変わっただけですねと笑顔で話す石井さん。自然への一途な愛情に心惹かれた方、瑞々しい自然を見て癒されたい方は、ぜひ足をお運びください。

10月28日(土)14:00からギャラリートークがあり、撮影方法や撮影エピソードなどを話してくださるそうです。

会場のメイン展示。子どもの頃から昆虫が好きだという石井さんらしく、蝶や蜂、トンボなどの昆虫が、さまざまな角度で写っています。もちろん草花も。一枚一枚に命のキラメキが表現されています。

会場には連日、多くの方が訪れ、石井さんの作品に心を和ませていました。カメラを始めて約35年、プロとして活躍するようになってから約17年。石井さんの自然への愛情が詰まっています。

【石井 孝親 写真展「小さな自然との触れ合い」】
会期:2017年10月26日(木)〜11月1日(水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会場:キヤノンギャラリー銀座(日・祝休館)
http://cweb.canon.jp/g…/archive/ishii-smallnature/index.html
※銀座での展示終了後は、大阪・福岡・名古屋での巡回展も予定されています!

石井孝親さんのオフィシャル・サイト
http://www2.ttcn.ne.jp/naturephoto/