風間 克美 写真展「地方私鉄1960年代の回想」

レポート / 2018年10月8日

地方私鉄が伝える、かつての日本の賑わいと終焉

約40点の作品が並ぶ会場では、鉄道ファンをはじめ多くの方が作品を鑑賞しながら、かつての日本の地方の風景に思いを馳せていました。
写っているのは、花巻電鉄(岩手)、仙北鉄道(宮城)、淡路交通(兵庫)、野上電気鉄道(和歌山)など。かつて地域の人々の足として賑わいを見せた地方私鉄が、1964年の東京オリンピックを境に次々と廃線を迎えるまでの1960年代初頭の姿です。

行商の人を乗せた荷物合造車を写した作品の前で。デジタル技術により、35mmフィルムで撮られたとは思えないほど細部まで鮮明。

「地方私鉄が消える寸前の5年間、各地をまわって撮影をしました。かろうじて撮影できたのは120路線ほどで、その中から20路線ほどを展示しています。お出かけする家族連れ、行商人、学生たちで溢れかえる車両など、日本が幸せそうな時代だった情景ですね」

風間さんは、あえて国鉄ではなく地方私鉄を被写体に選び、それを使う人々や町並みなど時代を写すことにこだわったと言います。実際に展示作品を見ると、満員電車にあっても人々の表情は生き生きと楽しげに輝き、温かみや高揚感が伝わってきます。

「12年前にも写真展をしましたが、今回は皆さんの反応が違うように思います。特に若い方は、活気があって寛容だったかつての日本への憧れのようなものを感じてくれているんじゃないでしょうか。鉄道ファンに限らず、多くの方に見て感じてもらいたいですね」

風間さんの作品を観ながら、社会・経済の急激な発展の中で現代の私たちが失った日本らしさとは何かを見つめ直してみるのも良いかもしれません。
ぜひ会場へ足を運び、地方私鉄が走る日本の風景をご堪能ください。風間さんは展示期間中は在廊しているそうです。

【風間 克美 写真展「地方私鉄1960年代の回想」】
会期:2018年10月3日(水)~10月15日(月)
10:30~18:30
会場:リコーイメージングスクエア新宿(火曜定休日)
http://www.ricoh-imaging.co.jp/…/squa…/2018/10/20181003.html

風間さんのブログ「地方私鉄 1960年代の回想」
https://umemado.blogspot.com/