【写真展紹介】山下 晃伸 写真展「夜光性静物観察記 ~闇に浮かぶ獣達~」

写真展紹介 / 2020年11月10日

山下 晃伸さん写真展「夜光性静物観察記 ~闇に浮かぶ獣達~」が、11月10日(火)まで原宿駅から徒歩9分ほどのところにあるTHE blank GALLERY で開催されています。また本展は、Adrien BERAUDさん 写真展「こどもの国」と同時開催となります。THE blank GALLERY は、国内の若手作家を中心に企画展を開催するインディペンデントギャラリーです。

写真家の山下さんは、東京工芸大学 大学院で本格的に写真を学ばれ、博士号(芸術学)を取得されました。また、在学中から夜光を活かした作品の制作に取り組み、2007年には富士フイルムフォトサロン新人賞を受賞。現在もコンスタントに個展やグループ展を開催され、精力的に作品を発表し続けています。

本展では、夜の公園に佇む、動物や恐竜をモチーフとした遊具やオブジェを撮影した作品が展示されています。昼間の温かな太陽光とは異なる、夜のどこか人工的な光に縁取られた被写体からは、今にも動き出しそうな存在感が感じられます。

撮影対象である公園の動物や恐竜のオブジェは全国各地に点在しているため、インターネットやSNSを駆使して日々情報収集されていると山下さんは話します。

「ブログやツイッターなどで事前に情報を収集してから、実際に公園へ足を運ぶことが多いです。昼間に一度下見を行ってから撮影に臨むこともあります。撮影を重ねるうちに、SNSなどで多くの方から情報を提供していただけるようになりましたのでロケハンはだいぶ減りました。やはりSNSの力は大きく、知名度があまりない公園でも、誰かが投稿した写真1枚で状況が一変することはよくあります。なので、町おこしを兼ねてこういったオブジェを押し出す自治体も増えてきましたよ」

右端の作品は、2年前にイギリスのハイド・パークで撮影されました。「バスでの移動中に馬と犬のオブジェを目にし、その夜ホテルから30分ほど歩いて撮影に向かいました。今後は海外の撮影にもより積極的に取り組んでいきたいと考えています」と、山下さん。

本作の撮影で使用された機材はデジタルカメラがメインとのことですが、撮影を始められた当初は、4×5の大判カメラを使用されることが多かったのだとか。それは撮影スタイルの変化にも直結したそうです。

「デジタルへ移行し使用する機材が小型化したことで、被写体をとらえる角度や見せ方への工夫が生まれました。また、機材運搬の負担が軽減されたことで、撮影の機動力も高まり、1日で複数の撮影地をまわれるようになったことも大きな変化です」

そして、夜の公園での遊具やオブジェの撮影は、かれこれ13年ほど続けられているとのことで驚きです。その撮影の間には、景観の変化も肌で感じられたと山下さんは話します。

「『継続は力なり』と言いますが、僕の撮影スタイルはまさにそれです。『よく10年以上も夜光写真を撮り続けているね』と言われることが度々ありますが、カメラを介することで、人の目ではとらえることの出来ない夜の光景を切り取れるということは純粋に興味深いですし、そこには日々発見があります。また、経年劣化による遊具の塗り直しや事故防止のための一部撤去などにより、もう二度と出会えない光景もあります。だからこそ、夜の公園での出会いを写し止めることに意義を感じています」

東京都江戸川区で撮影された、一時点検のために網が掛けられたオブジェ。どこかユーモラスな魅力を感じます!

会場では、山下さんのこれまでの撮影の軌跡がまとまったフォトブックや、2021年のカレンダー、ポストカードなどもお買い求めいただけます。本展と併せてぜひご覧ください!

ステートメント

【山下 晃伸 写真展「夜光性静物観察記 ~闇に浮かぶ獣達~」】
会場:THE blank GALLERY
会期:2020年11月6日(金) 〜 2020年11月10日(火)
12:00〜18:00
https://the-blank-gallery.com/blog/?p=4184

山下さん WEBサイト http://akya.jp/
Instagram https://www.instagram.com/akya0414/
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