ART PHOTO EXHIBITION Sudi 写真展 「INBETWEEN〜The prologue」

レポート / 2021年1月8日

~1点1点の作品にドラマがあり、瞬く間に過ぎゆくものをギュッと大切にしたくなる愛おしい瞬間~

写真展の作品を固めてから加えられた、最近撮られたというメインビジュアルに使われている作品( Sudiさん の左隣)と一緒に撮らせていただきました。この作品を入れたことで「全体がしっくりきました」とのこと。

日本橋髙島屋とピクトリコのコラボレーションによる、Sudiさんの写真展 「INBETWEEN〜The prologue」にお邪魔してきました。こちらは期間限定のPOP UP GALLERYになり、日本橋髙島屋S.C.新館の下りエスカレーターを降りてすぐの場所にあります。周辺店舗との雰囲気にも合っていて、まるで前からここに飾られていたようです。

こちらはSudiさんにご提供いただいた会場全体写真。

ー前回拝見した写真展とはまた違った心響く情景ですね。今回の展示は2000年2月オランダで開催されたHaute Photographieで展示されたものも含むとのことですが、それは何点でしょうか。

3点になりますね。表参道のときの展示(2018年12月ピクトリコ ショップ&ギャラリーでの写真展「The Life Of Things」)とは、かなり違う印象かもしれません。撮るときに意識はしてはいませんが、あの時の展示作品の方がめずらしいかも。

ーオランダでの展示を経て、発表へのスタンスや作品制作など変わられたことはありますか?

何一つ変わっていないですね。良かったと思ったことは、どこで誰に評価をされてもされなくても、写真の価値は変わるわけではないということが確認できたことです。評価されるということが作品の価値を決めるわけではないと思いましたし、そういう経験をした上でも、自分は変わらないということを感じました。でもやっと自分を堂々と写真家だと言えると思えた経験でした。

ー未知の場所ということで不安やこわいと感じたりもしそうですが。

それは日本でもオランダに行った時もそうですが、どこでしても同じですね。何回しても、こういったイレギュラーな空間でやるにせよ、こわいというか緊張感はどこも同じです。

合計11点の作品が、壁面とイーゼルを使って展示されています。 (こちらもSudiさんにご提供いただいた写真)

ーブログなどでSudiさんが撮られたものは拝見していますが、実際に作品として落とし込まれたものを見ることができて、この状況下ではありますが幸せです。

良かったです。長年私のブログをご覧いただいている方たちも、展示された作品は、全然別物と仰っていただいていますし、自分の子どもでもある写真たちの一番の見せ方は、プリント・額装されたこの姿だと思っています。
今回はイレギュラーな展示なので違いますが、基本ギャラリーに在廊しているのも、写真を通したコミュニケーションが楽しみで、それがなければ写真展をする意味がないかもと思っています。

ー今回のような場所ですることで、写真愛好家だけでない人にも写真の楽しみを知ってもらえるのではと思いましたが、どうでしょうか。

お話をいただいたタイミングがコロナ真っ只中で、海外での展示など予定していたことの先が見えなくなり、ちょうど発表したい欲も高まっていたときで、すぐにやりますと決断しました。思っていた以上に素敵な空間でやって良かったなと思っていますし、 まわりのアーティストたちも発表できる場がなくなっている中、展示の機会をいただいたのは、ありがたいと思っています。
ピクトリコさんも買い物途中などの、ギャラリーに来ないような人たちも訪れるのではと話されていましたが、写真への関心や浸透はまだまだ難しいのではと感じています。

ー確かに写真を楽しみ、飾るということ自体が日本ではまだまだかもしれませんね。

オランダで美術館に行きましたが、たくさんの小学生たちが作品を見て学んでいる姿を見て、環境自体違っていると感じましたし、アートを小さい時からたくさん見ることは、 必ずしも目が肥えてくるとは言えませんが、そういう習慣をもたない人たちとは違ってくるかもしれません。
オランダで展示をして、アートフェアに入場料を払って来る人たちの、本気度は全然違うということ、またアートコレクターたちの数の多さにもびっくりしました。
これは日本ではなかなか見れないことです。日本では勉強熱心な人が多いのも事実ですが、写真の知識はなくても、素直な感想をもらったときの方がうれしくグッときます。

ごあいさつ

ーそれは理屈ではないことですね。どうやって撮っているのかと聞かれる方も多いのではないでしょうか?

そうですね。感覚的に撮っているので、それを説明するのは難しいですね。例えばスーパーに買い物に行ったときとか、撮りたくてしょうがなくなることがあり、いつもカメラは持ち歩いています。
こう撮ろうなんて考えだしたらダメで、瞬間的に自分の中であっと思ったものを撮っています。

ーまるで写真が生きている証のようですね。

その通りです。以前もお話しましたが、写真を撮る前は何かを書きたくなる時のためにノート、ペンを常に持ち歩いていたことが、写真になった感じです。最初の頃はまわりの人にいつか飽きるよと言われたりもしましたが、16年経ってもこれだけ好きなことなので、写真が自分に一番合っていると思っています。逆にカメラを持っていないと不安になってしまいますね(笑)

ー海外に行かれる際は持ち歩く機種を変えたりとかはありますか?

ずっと同じです。(と、愛機のSIGMA dpを見せていただきました)
オランダではたくさんの人が私に感想を伝えようとしてくれました。自分にとっても財産と思える時間でしたが、外に撮りに行きたい!とずっと会場にいることが苦痛に感じた瞬間もあり、今日は外を散歩しようという時間をとったりしました。
その後のParis PhotoやPHOTO LONDONなどがコロナの影響で中止になって、(Haute Photographieは) タイミング的にギリギリで本当にラッキーでした。
あとから考えると、数週間遅かったら中止になっていたかもしれないし、帰国することが難しかったかもしれません。ちょうどオランダにいるときに横浜のクルーズ船の報道がされていて、今のようになるとは思いもしませんでした。上京してきて長いけれど、緊急事態宣言が出て東京から人がいなくなり、最初は新鮮に目に映ったことが、街が死んでいるように感じてきて、何も撮る気がしなくなりそれから撮れなくなっていた時期もありました。

ーということは、撮れるようになったのは最近ということでしょうか。

ピクトリコさんから展示の話をいただいたぐらいからですね。
私がしたいことは、特別な場所や特別な物でなくても、美しいものは身近にあふれているということを知ってもらいたいということかなと。それは幸せみたいなものです。

プロフィール

ーインタビューを終えて
写真展に足を運び思うのは、作品を通して自分をも見つめ直すそんな特別な時間をもらっているということ。歳とともに諦めたり、何も感じていないふりもできるようになってきましたが、何かしないといけないのでは、自分を変えていかなければいけないのではといった焦燥感に駆られたりもします。そんな時Sudiさんの作品を拝見して、世界は自分が思うよりずっとシンプルにできていて、今まで見えていなかった素敵なもの、忘れてしまっていた感情に気づかされ、眠っていた感受性が呼び起こされるように感じます。

新型コロナウイルス感染症の影響で、2021年の年明け早々から状況は変化していっていますが、体だけでなく心の健康を守るのも大切なこと。心の栄養を補充しにぜひご覧いただければと思います。

Sudiさんの写真への、そして表現者としての情熱に、今回もパワーをたくさんいただきました。落ち着いた頃にまた写真展ができればとお聞きして、それを見て自分が何を感じるのか、今から楽しみです。

【ART PHOTO EXHIBITION Sudi 写真展 「INBETWEEN〜The prologue」】
会期:2020年12月26日(土)~2021年1月16日(土)
10:30~20:00
会場:日本橋髙島屋S.C.新館4F POP UP GALLERY
https://www.takashimaya.co.jp/nihombashi/specialtystores/topics/62641

SudiさんWebサイト
http://www.sudi.jp
https://www.instagram.com/sudiphoto/