小林 民子 「砂の途上」展

レポート / 2019年3月26日

~セクシーで包容力のある、砂の世界に魅せられて~

会場にて、小林さん。写真集の表紙になった作品をバックに。
サハラ砂漠の玄関口として、シャウエンの街はどうしても撮りたかったそうです。「シャウエンの街は撮影するのを嫌がられることが多かったです。この作品は、展示を意識して4回目に撮影しに行
った時のもの。カメラを構えていると、目の前を影の人が通り過ぎました。一瞬の偶然です。青い壁に閉じ込められているような印象を受けました」と撮影秘話を話してくれました。三角帽子の黒い影は、魔法使いのよう。

広大なサハラ砂漠で有名なモロッコ。砂漠の玄関口・シャウエンは青い町として有名です。
当初は砂漠に興味がなかったという小林民子さん。師匠・小澤太一さんのリクエストで、ウエディングドレスを作って砂漠で撮影することになり、2015年に初めてモロッコを訪れたそうです。

壁も屋根も青一色の街は幻想的。太陽の強い光を和らげようとしているのでしょうか。
小林さんは、初めて訪れた2015年より、4回にわたってモロッコを訪問し、撮影してきたそうです。

「初めてベージュの砂漠を目にし、セクシーで包容力があり、光で刻々と表情が変わる姿に魅せられました。砂しかないのに何時間でも見ていられます。人生の走馬灯が浮かび、自分の人生はほんの一部にしか過ぎないんだと実感しました。砂漠はこれまでもこれからも、ずっと続いていく。自分はその遥かな時間の途上にいるだけなんだと思いました」

入り口すぐのスペースには、シャウエンの街を写した作品12点が並びます。

会場は、青い町・シャウエンの街スナップとサハラ砂漠の、2スペースに分けられています。シャウエンの幻想的な青い建物や街を行き交う人々の姿は、心なしか素っ気なさや硬質さを感じさせます。一方でサハラ砂漠やそこに暮らすノマドと呼ばれる遊牧民の姿は、厳しい自然の中にありながら、まばゆいほどの生命力と熱気に満ち溢れています。

奥のスペースには、サハラ砂漠の作品22点が並びます。

「自分が感動しないと撮れない」と小林さん。単なる人のポートレートではなく、人間を撮る、人間の中身を撮りたいとの思いでカメラを向けているのだそうです。今後は、海外に行かなければ撮れないのではなく、身近なところにある感動を撮れるように、周りに目を向けて街スナップなども撮っていきたいと、展望を話してくれました。

砂漠に暮らす遊牧民・ノマドの人々の生き様や命の輝きが伝わってくる作品が並びます

厳しい環境下でハツラツと生きる人々の姿と、サハラ砂漠の優美で包容力のある姿は、何時間でも見ていられます。「気持ちがフィットしました。自然の偉大さを感じます」と小林さん。夜空の撮影のため夜からカメラを構え、朝日に辺りが白く色づく時間が好きなのだそうです。

シャウエンの青色とサハラ砂漠の黄色の対照的な世界や、美しくセクシーな砂漠の姿が気になる方は、ぜひ会場へ足をお運びください。

会場にて、小林さんの写真集『砂の途上』が展示販売されています。

【小林 民子 写真展「砂の途上」】
会期:2019年3月22日(金)~3月28日(木)
10:30~19:00
会場:富士フォトギャラリー銀座
http://www.prolab-create.jp/gallery/ginza/