~ダイバーシティ(多様性)に富んだ世界・社会に生きていることを気づかせてくれる優しい写真~
芝公園駅より徒歩3分にある東京都人権プラザは、東京都の施設として誰もが人権について学び考えるきっかけづくりの一環として、写真展などの企画展示を年3回行っています。
現在展示しているのは、写真家・齋藤陽道さんの写真集『感動』(2011年発行)に収録されている全作品と、より深化させ進み続けるための「、」となる新作1点が添えられた計122点の作品です。
車椅子の子ども、海、イルカ、ハンセン病患者、空、足を失った覆面レスラー、車のタイヤ、犬、植物、メリーゴーラウンドの木馬など、世界・社会のありとあらゆる多様な存在が、穏やかなタッチで描かれています。
「『あたりまえ』であることに恐れながら、奇をてらうことをやめようと思った。写真としても、人間としても、それがあってこそ本物が生まれるのだという力の源を、言葉なき沈黙のうえに、今一度、信じたかった。思えば、写真集とは、それを撮った人間によって作り上げられたひとつの社会なのだ。社会は、未知とのかかわりあいを続けようとする者たちによって開かれていく」(ステイトメントより抜粋)
作品はほぼ同じサイズで展示されています。それは、すべてのものの価値は等しいのだという齋藤さんの思いが表現されていると、専門員の林さん。「写真の中にある凛とした存在感が、僕たちはすでにダイバーシティ(多様性)に富んだ社会に生きているのだと気づかせてくれます。写真は、人によって解釈に幅があるもの。齋藤さんの作品から、人の尊厳や生きていく自由、命の大切さ、豊かな社会とは何かについて、それぞれが感じてもらえれば嬉しいです」と、企画展への思いを語ってくれました。
会場には、作品や写真集を展示しているほか、凹凸印刷による「触る写真」なども展示。私たちのまわりに広がる豊かな世界・社会を感じ、目を向けてみたい方は、ぜひ会場に足をお運びください。明日9日(土)はトークイベントもあるそうです。
【齋藤 陽道 写真展「感動、」】
会期:2019年1月19日(土)~3月30日(土)
9:30~17:30
会場:東京都人権プラザ 1階企画展示室(日曜は閉室、祝日は開室)
https://www.tokyo-hrp.jp/exhibition/feature_2018_04.html
トークイベント:2019年3月9日(土)14:00~16:00
姫野希美(赤々舎・ディレクター)×齋藤陽道「写真集『感動』が顕わにする世界の姿」