坂口 トモユキ 写真展「Midnight Logistics」

レポート / 2021年11月30日

会場にて坂口さん。

闇夜に浮かぶトラックやトレーラー、そして高速道路の巨大建造物。それは坂口さんの代表作である、2011年にマーチン・パーが選ぶベスト30写真集にも選出された『HOME』を彷彿とさせる、ゲーム世界の異空間に迷い込んでしまったような感覚を覚えます。写真展としての展示は久々となる坂口さんにお話を伺ってきました。

普段モニターか、プリントしてもせいぜいA3サイズぐらいまでなので、大判でプリントしたされたものを、純粋に見たいという気持ちもありました、と坂口さん。

ー2018年に出された写真集『Midnight Logistics』と同タイトルの写真展になりますが、今展の経緯など教えてください。

そうですね。写真集を出して終了というわけではなく、それは途中経過として、その後も継続して撮っていました。撮り方が変わっていったり、エリアを拡大したりと、新しいことにもいろいろと挑戦しています。
今回特に展示をしたいと思ったのは、動画を発表したいと思ったからで、今までにもスライドショーなどはありましたが、こちらの会場は設備も整っていますので。作品としてきちんと撮影した4K動画を流すのは初めてで、この動画をコアにして構成を考えました。
写真展を永らくしていなかったというのも大きくて、そろそろこういった活動もしていかないと、と思ったのもきっかけですね(笑)。

ーこの作品を撮られるようになったきっかけなどありますでしょうか。

一つではなく複合的な組み合わせです。
自分が内面的なものをだしていくという作品づくりではなく、具体的なものを記録するという作風というのも一つですし、今までにもダムなど撮っていますが、巨大構造物に興味があるということも一つです。
あと私の仕事が雑誌からECの仕事にシフトしていったことも大きいです。印刷媒体のカメラマンから、インターチェンジ近くにある物流センター内で、(売れ行きの意識もしつつ)ECの商品撮影をするようになって。そこに通っているうちに自然と物流にも目がいくようになりました。
『HOME』で撮っているときもそうなのですが、人口の光源(街灯)で車はめちゃくちゃ綺麗に見えます。サービスエリアに行くとまじまじと鑑賞してしまって、夜中に一人で黙々と撮りに行ってしまっています。
こういったいろいろな複合的な理由でしょうか。でも一番は、一人で車に乗って夜に高速道路を走って撮りにいくのは、人に会いたくないというか(笑)。観察しにいくという感覚で、ゲーム的なフィールドに行くような気持です。

深夜の高速道路サービスエリアのトラック・トレーラー、圏央道 相模原IC、新東名 伊勢原大山IC、御殿場JCTなどの写真と、深夜の相模原ICを撮影した映像作品「相模原IC」(約4分)
会場で流されている映像作品、延々と見てられます。自分たちが知っている昼の姿との違いもおもしろく、見に来られた方も見入られている方が多くいらっしゃいました。

ー展示自体、久々とのことですが、何か感じられたことなどありますでしょうか。

紙に出すということは、プリントサイズという物理的な大きさが意味をもってくるので、そこがモニターで見るのと一番違うところです。モニターだと、画面サイズに関係なく脳内で変換(補完)してしまっていると思いますし、視認性がまったく違いますね。

ー確かに、トラックやトレーラーなどを撮られた作品は、それを特に感じますね。

展示空間は物理的な空間というインターフェースだと思っていて、体験的な面ももっていますよね。作品との距離、寄ったり引いたりして見ることによっても変化しますし、プリントは写真を見ているという実感が増すような気がします。
一枚フィルターがかかるというか、モニターだと被写体であるトラックだけに目がいってしまうと思いますが、写真プリントというフィルター(ベール)がかかることで、作品を見る人の意識が変化していくのも、とても面白いです。
こういったことを、今までは当たり前すぎて意識していませんでしたが、久しぶりに展示することになって、プリントする意味や意義といった、思考をいろいろ巡らせたり、これが展示の醍醐味かなと感じました。

ー今撮られているものなどお聞きしてもよいでしょうか。

Instagramにアップしていますが、交差点にいる人を撮っていて、こちらは動画も撮っています。

ー今後また違った形での展示の展開もありそうですね。

そうですね。今回展示してみていろいろアイデアがわいてきました。今のところ同じテーマで撮るかは考えていないのですが、動画はもっと撮りたいなと思っています。

ステートメント&プロフィール

写真集『HOME』、イベントで販売された写真集はネット通販もされています。

リアルな世界のはずだけれども、夜の光の下でファンタジー化された作品の数々は、自分がまるで生まれてはじめて見た光景のような発見がたくさんあります。自分家に届くAmazonの箱も、近所のマンションの工事現場の毎朝見るたびに違っている資材とか…。その私たちの目に見えない部分が、単なる事実の記録ではなく、作品というスケール感マシマシで迫ってきます。ぜひご覧ください!

【坂口トモユキ 写真展「Midnight Logistics」】
会期:2021年11月19日(金)~12月2日(木)
11:00~18:00
会場:ソニーイメージングギャラリー銀座
https://www.sony.co.jp/united/imaging/gallery/detail/211119/

坂口さんのWebサイト
http://tsaka.jp/

坂口さんのTwitter
https://twitter.com/tsakajp