~白と黒というそぎおとされた作品から自然という「リアリティ」が胸に迫って来る写真展~
自然写真家として著名な水越さんの、厳選されたモノクローム作品36点が展示された今回の写真展。ギャラリー入口には「風景写真を考える」というタイトルで、水越さんのメッセージが掲示されており、そこからすでに風景写真への熱く深い想いを感じることができます。
2月16日に行われたトークショーでも、板東尚武さんに「水越 武さんの特徴はぶれない」というコメントが出たとのことですが、水越さん自身も時代とともに変わるのには抵抗を感じ、自然観といったものは変わらず、信念のようなものを持ち続けています、とお聞きしました。
この自然写真を撮るようになった原点について
「山が幼少時代から好きで、小学校3年のときに母親に連れられて御嶽山に登ったのがきっかけですが、それ以前から魅かれるものがあり、自分が生活しているところと、山に登り標高が変わるということだけで、身近な植物や昆虫なども変わってくるというのが非常におもしろいと感じていました」。
「いかにリアリティを持って作品にしあげていくかを大事にしていて、自分の見方や美意識、価値観を作品の中に込めていければと思っています。そのあたりの作品への意識というものはずっと変わらないものです」という作品づくりへの姿勢や、人のいるところが苦手で、若いころは登山道を使用せずに山登りをされていた、とお聞きして、水越さん自身が自然と対峙するこのスタイルが、作品に「人間の手によって汚されていない」自然がもつリズム、エネルギーの純化されたものが凝縮しているのだと感じました。
これから行きたいところとして、まだ行っていないところですね、とのこと。現在はライチョウを撮られているとお聞きしました。以前撮影されたころと比べ生息数が減少し絶滅危惧種になっているそう。こちらは写真集、写真展を企画されているとのことですので、とても楽しみです!
会場では作品とともに写真集も販売されています。著作の文章について、読みやすさや分かりやすさを意識して執筆していますとお聞きして、最近購入した水越さんの『最後の辺境』。なるほどと思いました。
水越さんの自然への造詣の深さと愛情がこめられた写真展。ぜひ会場へ足をお運びください!
【水越 武 写真展「風景写真を考える」】
会期:2019年2月6日(水)~2019年3月17日(日)
11:00~19:00(最終日16:00まで)
会場:リコーイメージングスクエア銀座(火曜定休)
http://www.ricoh-imaging.co.jp/…/sched…/event_detail_59.html