【パリブログ Vol.22 】「fotofever出展」

パリブログ / 2022年3月7日

2月は昨年末から準備をしていたアートフェア「fotofever」に出展した。年末から新年にかけての感染爆発の影響を、出展者も主催者も危惧していたが、催しは無事盛況のうちに閉幕した。参加したfotofeverについて振り返ろうと思う。

会場は19世紀半ばから2005年まで金物屋として使われていた。

fotofeverは今年で10回目の開催となる。例年はPARIS PHOTOと同じ11月にルーヴル美術館の地下催事スペースCarrousel du Louvreで行われていたが、海外からの出展者が見込めない今年は日程や規模を変更し、Bastille Design Centerという展示会場で招待客のみを招いたプレビューを含む、4日間が行われた。

このアートフェアは、「START TO COLLECT」をコンセプトに掲げ、PARIS PHOTOよりも新人アーティストや、若いギャラリーの出展が多い。販売価格もPARIS PHOTOで販売される作品よりも抑えられている。具体的にはA3+くらいまでのサイズは数百€から1000€以下、大きな作品では2、3000€と比較的購入しやすい価格帯となっている。

日本人作家や日本にインスパイされた作品も多く出展

出展ギャラリー・作家はフランス国内の約10にとどまった。その分来場者は、全てのブースを無理なく回ることができ、作品をゆっくり鑑賞することができた。大きな会場だと、来場者もブースを回るのに疲れてしまう傾向があるので、我々のような若いギャラリーにとっては大きな利点となった。

我々は二階の小さめなスペースに、二つの異なるシリーズを20点ほど展示した。設営や運営には、主催者とパートナーシップを結んでいるアートマネジメント学校の学生たちが手伝ってくれて、とても助かった。特に私は一人で参加しているので、手が二人分、三人分あるだけでも作業の進みが違う。

パリでは初展示となった清永安雄の「Woods of Strife」

こうしたサロンに来る方々は、作品を「見に」来る方々も多いが、確実に「買いに」来ている方々がいる。話し方や作品を見る眼差し、振る舞いなどでどことなくわかる。そうした方々をうまく捕まえて、販売するのが腕の見せ所なのだろうが、アート作品の接客というのは簡単ではない。経験上、ほぼ作品の好みで、買い手がつくかが決まってしまうことが多い。大切なのは、買い手の予算が決まっている中で、どの作品を買うかを迷っている方をとり逃さないことだ。

そうした潜在顧客にきちんと会話をして、情報を提供しておく。そうすれば作品のイメージと与えた情報が残る。同サロンでの販売は一点だけだったが、一度ブースを離れた方が、「この作品を買いたいと思います」と戻ってきてくれた。
販売に慣れていないため「本当ですか?」と間抜けな返事をしてしまった。

周りのギャラリーを見ても販売はどこもあったようだが、販売数・売上は「ぼちぼち」という印象だったようだ。

fotofever設立のCecileさん

また販売以外にも、文化事業従事者やアーティスト、出展者とのつながりなど、普段ギャラリーで働いているだけでは得られない出会いがあったのも良い経験となった。

上半期のこれからは、ギャラリーの展示会の開催と下半期のアートフェア出展への準備を進めるつもりだ。今年はフランス国外のフェアにも出展予定なので楽しみだ。