【パリブログ】Vol.4「ギャラリー物件探し」

パリブログ / 2019年10月15日

10月15日(火)

朝晩に雨がよく降るようになった。パリの人々はあまり傘を使わない。大抵フードを被ったり、スカーフを巻いたり、はたまたスーパーの紙袋を被ったり。この季節の雨がすぐに止むことを知っているからだ。

夏の日差しは去って、朝はもうコートが必要なくらい寒い。と思っていると、昼下がりに日が出れば気温はぐんぐん上がり長袖のシャツ1枚くらいでも過ごせるくらいになるから、着るものに困る。

スーパーでも、桃やプルーンの後にイチジクなど、3週間ほど売り場を賑わしたと思うと、いつの間にかキノコや黄、白、黒などカラフルなニンジンやカブ、パースニップなどの根菜に主役の座を明け渡している。温かいスープやシチューが食べたくなる季節だ。

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京都で働いている時、私は決まって「パリのギャラリーで働く予定のスタッフです」という紹介のされ方をしていた。そのたびに尋ねられるのが、

「ギャラリーの場所はもう決まっているのですか? どのあたりですか?」

というもの。

日本にいる間も物件探しは既に始めていたが、まだ現地に行っていないのに決められるわけもなく、代表とのミーティングをもとに

「左岸のカルチェ・ラタンのあたりで探しています」

といつも歯切れの悪い返事をしていた。

8月にパリに来てからは、自分の生活基盤を整えてから一番にやることがギャラリーの物件探しであった。先週から今週にかけて代表がパリに来て、一緒に候補物件を見て回った。

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今回のプロジェクトでは、日仏両国にオフィスがあるサポート会社に業務を依頼している。こうした日仏間でのビジネスの立ち上げのサポートは、調べてみると両国でコンサルティング会社、翻訳・通訳会社、不動産会社、弁護士事務所、会計事務所などあらゆる業種の企業が参入している。

私たちは、お願いしているサポート会社F社と東京本社で一度面談をして、ある程度の事業内容と物件の条件などを伝えて、日本にいる間も候補物件の絞り込みを進めていた。具体的な作業は以下の通りだ。

~渡仏前~ 2019年2月~7月

F社は付き合いのある不動産会社数社にこちら側の条件を伝えて、候補物件の選定を進めてくれた。

この段階での絞り込みもある程度は行なっていたが、それよりもこれからできるパリギャラリーのイメージづくり、相場の把握、フランス独自の不動産の商習慣の勉強、といった意味合いの方が強かった。フランスの不動産の概念は他の西洋諸国と比べても独特で、何度か聞いても理解するのは難しい。複雑なためここでは割愛する。

物件探しと並行して行なっていたのが、

・渡仏する私のビザ申請準備

・フランスの支店設立&登記

・銀行口座開設準備 の3つ。基本的には上記の3つをクリアしないと、不動産の契約はスムーズにいかないため、物件の決定は私が渡仏してから、と決めていた。

~渡仏後~ 2019年8月~10月

年明けくらいから準備していた私のビザがやっと7月に取得できて、渡仏日を8月半ばに決定した。すると、これまで会うたびに「フランスにはいつ行けそうだね?」とヤキモキしていた代表が、「パリに着いて1ヶ月くらい経ったら落ち着いてるやろ?」と言って「10月の初めの週にパリに行きます」と一方的に自身の渡仏日を決めてしまった。

そのため、渡仏後にさっさと自分のことは済ませて生活基盤を整え、来たる10月に備えて下記の行程で物件の絞りこみ作業を進めていった。

・F社パリ担当とともに現時点での不動産情報のキャッチアップ

・候補物件の下見。外観から見た物件の状態と通りの人通り、周辺のお店

・下見をして絞り込み後、代表が来る前に一度内覧。さらに絞り込む

・候補エリアを歩き、空き物件を探す。見つけたら直接電話して内覧

私たちは、ギャラリーのエリアを6区に絞って探していた。なので、9月は外出するとほとんど左岸のSaint-Michel、Odéon、Saint-Germain-des-Prés界隈を歩いていた。主にターゲットにしていたのは、ギャラリーが軒を連ねるRue de Seine、Rue Bonaparte、Rue Guénégaudやシックで上品なパリジャンが多いSaint-sulpice教会のエリアだ。

アートギャラリーというと、今のパリで勢いがあるのはマレ地区だが、我々のギャラリーの性格を考えて上記のエリアに限定した。トータルで外観を見にいったのは、15軒、私だけで内覧をしたのは、7軒、代表と一緒に見たのは、5軒といった具合だ。それでは、見学した物件の一部を紹介する。

Rue Saint-Sulpice

Rue Guénégaud

通りのほぼすべてのお店がギャラリーという通り。パリ造幣局博物館Monnaie de Parisもある。

Odéon

現在は不動産会社と物件決定の調整を行っている。今月中、ないしは来月中にはギャラリーの物件が決まっていると願っている。