【パリブログ】Vol.7「写真月間」

パリブログ / 2019年12月4日

先月末にシャンゼリゼ通りの点灯式があった。デパートのショーウインドウにもクリスマスのデコレーションが施されて、ギャラリー・ラファイエットには、毎年恒例の巨大クリスマスツリーが登場。街はもう、クリスマスムードだ。

ギャラリーのオープンへ向けて、作業を進めているがやはり想定よりも少しずつ遅れている。

年内にある程度の目処をつけて年越ししたいものだ。

***

先月中旬のFIACを皮切りに、Paris PhotoやFotofever、Photo Saint-Germainなど、世界規模の写真祭をはじめ、マレ地区のギャラリーでも大物写真家の展示が行われるなど、写真月間ともいえる賑わいだった。 来年のこの時期にはどこかに出展したいな、と思いながら回ってきた。少しご紹介する。

■PARISPHOTO

期間:11月7-10日

会場:Grand Palais

料金:30€(週末は32€)

雑感:

パリの写真イベントの中でおそらく最も日本で名前が知られているであろう、PARISPHOTO。ニューヨークやロンドン、ベルリンなど世界各地のアート先進都市に拠点を置くトップレベルのギャラリーが集まり、作家もそんなギャラリーの〝一押し〟が集まる。現在活躍中の売れっ子や、ギャラリーが所蔵する巨匠の作品など、バラエティーに富んだ展示は非常に見応えがある。

この時期にパリにて写真に関連する人たちが集まっているので、会場で顔を合わせることも多い。知人の学生が直接ギャラリーに履歴書を持って行って、就職活動を行なっていたり、若手の作家さんが日本のギャラリーの通訳の仕事をしていたりと様々な使い方があるようだ。

入場料の価格が高いのと来場者が多く鑑賞しやすい空間ではないが、写真作品の購入を考えている方や、ギャラリーへの売り込みを考えてる作家さんなどは貴重な機会になると思う。

複雑な構造美で一際目を引いていたEdward Burtynskyの「Africa」

アルゼンチンのMiguel Rothschildの作品はBendana Pinel Art Contemporain

■fotofever

期間:11月8-10日

会場:Carrousel du Louvre

料金:18€

雑感:

同期間に開催されているPARISPHOTOよりも、ビギナーコレクターをターゲットにして差別化を図っている。1,000€以下の作品には「START TO COLLECT」のステッカーが貼られていたり、視察日にはちょうどコレクターとアート関連の保険会社のスタッフを交えたトークを行っていた。

展示会場では「Collecter Apartment」と題して「自然」「女性」「建築」など空間のシチュエーション別に写真を展示して来場者にイメージを喚起するなど、コレクター育成の色を強調。

出展ギャラリーは、世界規模のトップギャラリーというよりは中堅という印象で、作品は全体的に新人作家の作品が多かったようだ。京都で知り合った若手の写真家数名も日本のギャラリーから出展したと聞いた。

とはいえ、作品自体は意欲的な作品もたくさんあり、見応えは十分。会場がコンパクトなこともあり、短時間で回れることも魅力だ。

トークイベント「START TO COLLECT」

他のフェアと同じくギャラリーごとにブースが区分けされている

PhotoSaintGermain

期間:11月6-23日

会場:左岸を中心としたギャラリー各地

料金:無料

雑感:

Saint-Germain-des-Prés界隈のボナパルト通り、セーヌ通り、ゲネゴー通りなどのギャラリー通りに軒を連ねる32のギャラリーが、一度に写真作品の展示を行う、今年で5回目のフェア。各ギャラリーが会場となるので、気になったギャラリーにふらりと入って写真を鑑賞できる。初日のヴェルニサージュ(レセプションパーティ)は、夕方から夜までギャラリーが空いているので、ワインや軽食をいただきながら、はしごするのがおすすめ。パリの国立高等美術学校(l'École nationale supérieure des Beaux-Arts)でも作品が展示されており、普段は入れないパリの美大に入れるのも楽しい。

■おまけ-その他のギャラリー

こうしたフェア以外にも、マレ地区をはじめとしたギャラリーでも有名な写真家の展示が行われていた。ギャラリー街はパリ市内に点在しているものの、大体が通りに固まっている。

写真家や写真に関わる人たちにとって11月は繁忙期でもあるが、新しい出会いや発見にあふれている時期だ。秋にパリにいるのならぜひ主要なフェアやギャラリーをチェックしておきたい。