杉浦正和・榊原 斎・松本コウシ 写真展「DUBIOUS」

杉浦正和・榊原 斎・松本コウシ 写真展「DUBIOUS」
杉浦正和・榊原 斎・松本コウシ
2023/10/17 ~ 2023/10/29
京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク

京都写真美術館 ギャラリー・ジャパネスク 2階展示室にて、2023年10月17日(火)から10月29日(日)まで、杉浦正和・榊原 斎・松本コウシ 写真展「DUBIOUS」デュビアスを開催します。


混沌とする日常、写真家はこの不確かな現実【DUBIOUS】を如何なる形容で具象化するのかー 。
大阪芸術大学写真学科を卒業し、プロ写真家として活動する同期の3人が、様々な被写体と向き合い抗った痕跡をここに提示する。

 

杉浦正和「迷幻街」Psychedelic Street
2019年、2020年にベトナムにて撮影。記憶は、時とともに薄れてきていますが、今のベトナムの街の醸し出す空気感は、賑わっていた子供の頃や、旅を始めた20代、何処へ行くにもまず格安旅券を買うために訪れた当時のタイのバンコクにもよく似ています。人口60%が30歳以下という若さで、街は昭和の日本のように混沌として、活気があり、ウロウロと徘徊するだけで胸が躍ります。そこで、外界との接触をカメラで仲介し、時間が経つのを忘れるほど夢中になり、感情の奴隷になった時に、生きているという実感が湧き出てきます。

 

榊原 斎「Ashes and Green」 灰と緑
ここに並んだ写真は、2023年に偶然撮影できた灰の写真を除きコロナ以前の2015年に撮影したものですが、私の意識の中では、逆説的なつながりで発掘された写真たちでもあるのです。 世界がパンデミックに覆われたこの数年、私個人も多くの喪失に立ち会うことになりました。 万物は塵に過ぎないー、しかし太陽は昇り、緑は緑としてあり続ける。そんな思いでこの作品をAshes and Greenと名付けました。それは、木漏れ日であったり、緑あふれる森の木々、そして何故か分断された 蜥蜴【トカゲ】であったり、風わたる叢【くさむら】であったりします。何も特別なものはない。もしかすると実物を目の当たりにしても、記憶にすら残りえない風景かもしれません。例えば、この組み合わせで現在、人々の意識の中に変化が生じたならば、それは、過去からのメッセージではなくこの場所で生まれたインスピレーションと思うのです。

 

松本コウシ「午前零時のスケッチ」ONE OF THESE MIDNIGHT SKETCHES
今の世の中は物質としての寿命ではなく、ヒトが必要とするか否かでモノの在り方(運命) が 変わります。消えゆくモノたち、残されるモノたちー 。ヒトの気配が消えた真夜中の午前零時、これらのモノたちは、時や時代を超え、ひとつの風景・事象となり、夜という摩訶不思議な時空間の中で、誰も知らないドキュメンタリー (物語) のクライマックスをひっそりと迎えていました。誰も見たことのない光景、自分の想像力を越えた何かを探し見つけたいー、ただそれだけのセンチメントが、夜という摩訶不思議な時空間に作者を縛り付け、地図のない旅へといざないました。「午前零時のスケッチ」(フィルム作品)は、夜という写真分野に於いて先駆的存在である作者の代表作です。