5月2日(木)までキヤノンギャラリー銀座で開催される、若山 美音子さん 写真展「遠い呼吸Ⅱ」にお邪魔してきました。そして銀座で展示されている作品と同じものが、6月4日(火)~6月15日(土)の日程でキヤノンギャラリー大阪でも展示されます。関西圏の方はぜひ足をお運びください!
ータイトルにある「呼吸」とは「命」を示していると以前お聞きしました。シリーズ2ということで、前作から踏襲している部分など教えてください。
まずシリーズを通して「呼吸」は「命」を意味しています。(生命としての)「命」はなくとも、この時代、この時の中で「命」として存在していると感じ取ったものを、撮り続けています。
(タイトルの)「遠い」は、私たちが生きている「今」に対して、撮ったその瞬間から全ては過去のものになり、どんどん歳月が積み重なっていくことで、自分から「遠い」ものになっていくことを意味しています。(撮った瞬間から)「命」といったあらゆるものが「遠い」ものになってしまう、そこに寂しさや未練といった気持ちを感じます、特に古いものに対して……。
この作品に関係はありませんが、故郷の中国に帰ったとき古いものを探してしまいます(笑)それはまるで子ども時代の記憶探しですね。
ー今回の作品はいつ撮られたものでしょうか。
2020~2023年の4年間に撮った写真です。コロナがあり、地震や外国の戦争といった人類にとってこれからどうなるのか、未来がないと思った時期でした。緊急事態宣言期間の街に人がいなかった時も、今しか撮れない写真がある、またそれを記録していかないといけないと感じ、できるだけ撮るようにしていました。しかし作品として見てみると、人が誰もいないという写真は、物足りないというか説明的でもあり、今回の作品には入れませんでした。
私は基本メインで人に反応をしますし、人間を撮るのが好きです。街を歩きながらおもしろいシーンに出会った時、撮らないと次にはもうなくなってしまうかも、気になった時はすぐ撮らないと!ということ。そしてそのシーンがすごく気になったかということをとても大切にしています。
ー今後のシリーズ(遠い呼吸)は、海外で撮られたいと思ったりされていますか。
実は海外でも撮っていたのですが、このシリーズにいれるかは今のところ考えてはいません。発表したかったのはコロナをはじめとした激動のこの時期(時)、という強い思いがありました。そのため前作から早い期間での発表になりました。
ー今までお話を伺って作品性をとても大切にされているのを感じます。展示する時に気を付けられた点なども教えてください。
作品性については、撮るときはそんなに考えてはいなくて、写真をセレクトする時が一番ですね。展示の構成は、ここ(キヤノンギャラリー)は広いですし、いろいろ考えましたが、最終的にシンプルにしました。サイズを全部同じサイズにすることで、平等に一枚一枚見てもらいたい。お客様に自由に感じ取ってもらいたいと思っています。見る人によって感じ方も違いますし、そこは十人十色で(笑)
ー最後に撮られる時に大切にされていること、惹かれるものなど教えてください。
自分の気持ちに素直に従うこと、気になった情景に出会ったら躊躇なくシャッターを押すこと、です。
2020年~2023年、それは日本のみならず世界中で様々な出来事があり、私たちの価値観さえ変えたといっても過言ではないのではないでしょうか。しかしその激動の時代も、若山さんの作品からは不穏・混乱・諦めといったネガティブなものはなく、ただ自然の成り行きといった物事の本質が捉えられているように感じます。それはまるで、私たちが普段見落としがちな光景の中に、確かに存在しているということをあらためて教えてくれています。
【若山 美音子 写真展 「遠い呼吸Ⅱ」】
会期:2024年4月16日(火)~5月2日(木)
10:30〜18:30
会場:キヤノンギャラリー銀座(日曜・月曜・祝日休館)
会期:2024年6月4日(火)~6月15日(土)
10:00〜18:00
会場:キヤノンギャラリー大阪(日曜・月曜・祝日休館)
https://personal.canon.jp/event/photographyexhibition/gallery/wakayama-toikokyu
若山さん Facebook
https://www.facebook.com/mineko.wakayama
若山 美音子 写真展「遠い呼吸 ー曖昧な存在に問いかけるー」 取材記事
https://kyoto-muse.jp/news/130436